好きこそ物の上手なれ|子どもの“好き”が伸びる親の関わり方
「好きこそ物の上手なれ」ということわざを、子育ての中で実感する場面があります。
意味は、好きなことは夢中になって取り組めるため、自然と上達しやすいということです。
子どもを見ていると、何でもすぐにできる子もいれば、覚えるのに少し時間がかかる子もいます。親としては、周りの子や兄弟姉妹と比べてしまい、不安になることもありますよね。
でも、わが家の子育てを通して感じたのは、最初から器用にできることだけが、その子の力ではないということです。
たとえ習得がゆっくりでも、子どもが本当に好きなことに出会うと、自分から練習し、悔しさを乗り越え、少しずつ自信をつけていくことがあります。
この記事では、わが家の子どもがダンスに出会い、「好きこそ物の上手なれ」だと感じた体験をもとに、子どもの好きなことを伸ばす親の関わり方についてお話しします。
目次
1. 子どもの成長は早い・遅いだけでは決まらない
子どもの成長には、本当に個人差があります。
歩き始める時期、言葉が増える時期、絵を描くこと、体を動かすこと、文字や数字への興味など、同じ年齢でも得意なことや苦手なことはまったく違います。
親はつい「早くできる子はすごい」「できないと心配」と考えてしまいますが、子どもの力はそれだけでは測れません。
① すぐできる子と、ゆっくり覚える子がいる
たとえば、同じ年齢の子どもに「ケンケンパ」を見せて、一緒にやってみるとします。
すぐに真似できる子もいれば、何度やってもうまくいかない子もいます。

でも、それは単純に「できる子」「できない子」と分けられるものではありません。
体の使い方がまだ慣れていなかったり、慎重な性格だったり、失敗するのが恥ずかしかったり、理由はいろいろあります。
だからこそ、親が見たいのは「今すぐできたか」だけではなく、その子がどんなふうに取り組んでいるかなのだと思います。
② 比べられると自信をなくしやすい
習得がゆっくりな子は、周りと比べられることで自信をなくしてしまうことがあります。
本人は一生懸命やっているのに、「もっと頑張って」「どうしてできないの?」と言われ続けると、挑戦する前から不安になってしまいます。
あと一歩踏み出せばできることでも、失敗を怖がって諦めてしまうことがあります。
親としては励ましているつもりでも、子どもにとってはプレッシャーになっていることもあります。
ここは本当に、子育てあるあるの落とし穴です。
③ 大切なのは「何に夢中になれるか」
子どもの成長を見るときに大切なのは、できることの数だけではありません。
その子が何に興味を持つのか、何をしているときに表情が明るくなるのか、どんなことなら自分からやりたがるのか。
そこに目を向けると、子どもの見え方が少し変わります。
好きなことに出会うと、子どもは「やらされる」から「やりたい」に変わります。この違いは、子どもの伸び方にとても大きく関係していると感じます。
できるまでの時間は違っても、頑張る姿はどの子も同じように輝いています。

2. わが家の下の子は習得がゆっくりなタイプでした
わが家には子どもが2人います。
上の子は比較的、何でもそつなくこなすタイプでした。一方で、下の子はどちらかというと習得がゆっくりなタイプでした。
今でこそ落ち着いて振り返ることができますが、当時は親の私のほうがかなり焦っていました。
① 上の子と比べてしまい不安になった
上の子ができていたことが、下の子にはなかなかできない。
そんな場面が続くと、どうしても「大丈夫かな」と心配になってしまいました。
3歳のころ、自分の名前がまだ読めなかったときには、本気で悩んだこともあります。
今思えば、子どもにはそれぞれのペースがあります。でも当時は、上の子を基準にして見てしまっていたのだと思います。
② できないことばかり見ていた
親が不安になると、子どもの「できないこと」ばかりが目につきます。
文字が読めない、覚えるのが遅い、体の使い方がぎこちない。
そんな部分ばかり気にしてしまい、その子の良いところを見落としていた時期がありました。
でも、下の子には下の子の良さがありました。決めたら行動が早いところ、好きなことには一直線なところ、楽しいことを見つけるのが上手なところ。
そこに気づくまで、少し時間がかかりました。
③ この子の良いところを見ようと決めた
わが家では、夫婦で子育てについてよく話をします。
ある日、下の子への不安を妻に話したとき、こんな言葉をかけられました。
「この子にはこの子の良いところがあるから、そこをよく見て褒めてあげよう。」
その言葉を聞いたとき、私は「できないこと」ばかり見ていた自分に気づきました。
名前を読むのが遅いこと、覚えるのに時間がかかること、上の子のようにすぐできないこと。
そんな部分ばかりに目が向いて、この子が持っている良さをちゃんと見ようとしていなかったのです。

でも、本当はこの子にも、この子らしい良さがたくさんありました。
好きなことにはまっすぐなところ、楽しいと思ったらすぐに行動するところ、そして褒められると嬉しそうに笑う素直さも、この子だけの大切な魅力です。
全部を早くできる必要なんてありません。
まずはこの子の良いところをよく見て、できたことや頑張ったことをしっかり褒めていこう。そう思えたことが、私の子育ての見方を変えるきっかけになりました。
3. ダンスとの出会いで子どもの表情が変わった
下の子の好きなことを見つけたいと思っていたころ、幼稚園で仲良くなったママから妻が、
「近所のダンス教室に、一緒に体験に行かない?」と誘われたそうです。
正直、私たちはそれまで習い事にダンスはまったく考えていませんでした。
でも、当時の下の子はアイドルアニメが大好きで、音楽に合わせて体を動かすことにも興味がありました。
① 思いがけない体験がきっかけになった
ダンス教室の話を下の子にしてみると、「行きたい!」とすぐに返事が返ってきました。
親が強くすすめたわけではありません。
自分で「行ってみたい」と思えたことが、今思えばとても大きかったです。
子どもの好きなことは、親が最初から用意したものの中だけで見つかるとは限りません。思いがけない体験が、子どもの心を動かすこともあります。
② 体験レッスンで目が輝いた
数日後、ダンス教室の体験に行きました。
教室では、同じくらいの年の子どもたちが楽しそうにレッスンを受けていました。
キラキラした雰囲気の中で踊る子どもたちを見て、下の子はすっかり心を動かされたようでした。
帰り際、自分から「わたしもやりたい!」と言ってきました。
この決断の早さは、下の子の良いところ。親として成長を感じ、うれしかったことを覚えています。
③ 子どもの反応を見て入会を決めた
妻と相談し、ダンス教室への入会を決めました。
習い事を選ぶとき、親はつい「役に立つか」「将来につながるか」を考えます。
もちろんそれも大切ですが、子ども自身が「やってみたい」と思っているかどうかも、とても大切です。
わが家の場合、ダンスは親が最初から考えていた習い事ではありませんでした。
でも、下の子の表情を見て、「これはやらせてみてもいいかもしれない」と感じました。
4. 好きなことは、子どもを前向きに変える
いざレッスンが始まると、やはり下の子は覚えるのが早いほうではありませんでした。
振り付けを覚えるのにも時間がかかり、周りの子のほうが先にできているように見えることもありました。
でも、ダンスだけは今までと違いました。
数の数え方やひらがなでは「やらない」とそっぽを向くことがあったのに、ダンスは自分から練習していたのです。

① 家でも自分から復習していた
レッスンから帰ると、下の子は家でも何度も踊っていました。
まだ5歳でしたが、自分なりに覚えようとして、毎日のように復習していたのです。
親に言われて仕方なくやる練習ではありません。
好きだから、もう一度やってみたい。できるようになりたい。
その気持ちが、子どもを動かしていたのだと思います。
② 悔しさを力に変えていた
6歳のとき、大きな舞台に向けたオーディションメンバーに参加できる機会がありました。
ただ、振り付けはとても難しく、レッスンでは遅れてしまうこともありました。
帰ってから、悔しさなのか、できないショックなのか、泣きながらレッスン動画を何度も見て踊っていた姿を覚えています。
そのとき私は、今まで頑張ってきたからこそ、ここまで難しいことに挑戦する機会をもらえたことを伝えました。
そして、ここまで頑張ってきたのは自分の力なんだよ、と話しました。
それから下の子は、毎日のように夢中で踊っていました。
③ 好きなことが自信につながった
幼稚園でも、遊びの時間にずっと踊っていると先生から聞いたことがあります。
自分の好きなことを見つけた子どものパワーは、本当にすごいです。
その後、頑張りが実り、オーディションにも合格。仲間と一緒に大きな舞台に立つことができました。
最初から器用だったわけではありません。
でも、好きなことに出会ったことで、自分から努力する力が育ち、少しずつ自信につながっていきました。
5. 子どもの好きなことを伸ばすために親ができること
この経験を通して、親ができることは「苦手を責めること」ではなく、子どもの好きなことに向かう力を支えることだと感じました。
子どもの好きなことは、すぐに見つかるとは限りません。
でも、子どもの表情が明るくなる瞬間や、自分からやりたがることの中に、伸びるきっかけが隠れていることがあります。

① 兄弟姉妹や周りの子と比べすぎない
子育てをしていると、どうしても比べてしまう場面があります。
でも、比べすぎると親も焦りますし、子どもも自信をなくしてしまいます。
大切なのは、昨日のその子より少しでも前に進んでいるかどうかです。
「前よりできるようになったね」「ここまで頑張ったね」と、その子自身の変化を見てあげることが、子どもの安心感につながります。
② 結果だけでなく過程を褒める
子どもが何かに取り組んでいるとき、結果だけを褒めるのではなく、過程を見てあげることも大切です。
「上手にできたね」だけでなく、「何度も練習したね」「悔しくても続けたね」と声をかける。
そうすると、子どもは努力すること自体に意味を感じやすくなります。
わが家でも、ダンスがうまくできた日だけでなく、家で復習していたことや、諦めずに続けていたことを褒めるようにしていました。
③ 夢中になれる環境を整える
親ができるのは、子どもの代わりに頑張ることではありません。
体験する機会をつくる、興味を持ったことを一度やらせてみる、頑張っている姿を見守る。
そうした小さなサポートが、子どもにとって大きな後押しになることがあります。
向いているかどうかだけで決めるのではなく、子どもが笑顔で続けられるかどうか。
そこを見てあげることが、子どもの好きなことを伸ばす第一歩になるのだと思います。
6. よくある質問
① 子どもの好きなことがまだ見つかっていない場合はどうすればいいですか?
無理にひとつに決めようとせず、まずは子どもが少しでも興味を示したことを一緒に楽しんでみるのがおすすめです。
外遊び、工作、音楽、スポーツ、習い事の体験など、いろいろな経験をする中で「またやりたい」と思えるものが見つかることがあります。
親が最初から正解を探そうとするよりも、子どもの表情や反応を見ながら、好きの芽を探していくイメージで十分です。
② 習得が遅い子でも、好きなことなら本当に伸びるのでしょうか?
もちろん個人差はありますが、好きなことに出会うと、子どもが自分から繰り返し取り組むようになり、結果として上達につながることはよくあります。
大切なのは、最初から上手にできるかどうかではなく、本人が「やりたい」と思えるかどうかです。
好きなことは、練習を続ける力や、うまくいかなくても頑張る気持ちを育ててくれます。
③ 兄弟姉妹で成長の差があると、どうしても比べてしまいます
兄弟姉妹がいると、比べてしまうのは自然なことです。
ただ、比べられることで自信をなくしてしまう子もいるので、できるだけ「その子自身の成長」に目を向けることが大切です。
「前よりここができるようになったね」「最後まで頑張れたね」と、その子の変化を具体的に伝えると、安心して挑戦しやすくなります。
兄弟姉妹の差ではなく、その子のペースを見てあげたいですね。
④ 子どもの好きなことを伸ばすために、親は何をすればいいですか?
親ができることは、子どもの代わりに頑張ることではなく、興味を持ったことに取り組みやすい環境を整えることです。
たとえば、体験できる機会をつくる、頑張っている姿を認める、結果だけでなく過程を褒めるといった関わり方が効果的です。
子どもが「もっとやりたい」と思えるように支えることが、好きなことを伸ばす近道になります。
⑤ 習い事は、好きなことが見つかったらすぐ始めたほうがいいですか?
すぐに始めるのが必ずしも正解というわけではありませんが、子どもが強く興味を持っているなら、体験だけでもしてみる価値はあります。
大切なのは、親が焦って決めるのではなく、子どもが本当に楽しそうか、続けたい気持ちがあるかを見ることです。
まずは気軽に体験してみて、合いそうなら続ける、という流れでも十分だと思います。

7. まとめ|好きなことは子どもの力を引き出してくれる
わが家の下の子は、最初から何でも器用にできるタイプではありませんでした。
覚えるのに時間がかかることも多く、親の私が不安になることもありました。
でも、ダンスという好きなことに出会ってからは、自分から練習し、悔しさを乗り越え、少しずつできることを増やしていきました。
好きなことには、子どもを前向きに動かす力があります。
子どもの成長は、早いか遅いかだけでは決まりません。
今は少し不器用に見えても、好きなことに出会ったときに大きく伸びることがあります。
だからこそ、親は「できないこと探し」だけではなく、その子が何に夢中になれるのかを見つける手伝いをしていきたいですね。
子育てに迷うことはたくさんありますが、「この子の好きは何だろう」と考える視点は、親子の毎日を少し前向きにしてくれるはずです。
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