『えっ~!引渡しが間に合わない!?』
建売住宅や中古住宅を購入した場合は発生しないことだが、注文住宅では極まれに起こります。
打ち合せ担当者と現場の連携ミス、品番を間違えた、別のお客様と間違えた等々。
早い段階であれば、何とか工期に間に合うかもしれませんが、立会いの日に発覚した場合、予定していた引渡し日には間に合わない可能性もあります。
この記事では、新築・中古住宅、注文住宅の立会いから決済・引渡しまでの流れ、登記識別情報、引渡しに間に合わない場合ついて、ご紹介させて頂きます。
1.立会いとは
引渡しの1週間から10日前に、立会いを行います。
立会いは、建売住宅や中古住宅を購入した場合、買主、売主、営業マンが現場に集まり、住宅設備機器の使用方法の説明を受け、床や壁等にキズや汚れがないか確認します。
注文住宅の場合は建築主、建設業者(ハウスメーカーや工務店など)が現場に集まり、今まで打合せしてきたものがちゃんと施工されているか確認します。
また自分の土地と隣地との境界、道路との境界を測量図をみながら、境界石や境界プレートを照らし合わせて確認します。
この立会いの時に何かあれば、売主もしくは建築業者が引渡しまでに補修等し、正常な状態、打ち合せした内容に修理、補修をして引渡しを受けます。
例えば、クロスのキズや汚れはそれほど日数は掛かりませんが、キッチンが間違っていたら2~3週間程掛かってしますので、予定していた引渡し日には間に合わない可能性もあります。
2.決済・引渡し当日
決済・引渡し当日は、建売住宅や中古住宅を購入した場合、買主、売主、営業マンが、注文住宅の場合は建築主、建設業者が住宅ローンを組む金融機関へ集まります。
このとき、5番目の登場人物、司法書士もやっと登場します。
当日必要なものは、
①通帳 ②通調印 ③実印 ④印鑑証明書、等々 |
詳しくは営業マンや建設業者の担当者からお知らせがあるので、良く確認しましょう。
忘れると決済出来ないこともあるので、くれぐれも気をつけてください。
3.決済・引渡しの流れ
司法書士から、今回の登記手続きについて説明されます。
具体的には売主から買主へ『所有権の移転登記』、銀行が建物と土地に担保を設定する『抵当権設定登記』2つの登記手続きになります。
銀行は、この『抵当権の設定登記』の書類を確認したあとに、売主及び建設業者の口座に残代金を振り込みます。
司法書士は、必要書類に買主から署名捺印を貰ったら、登記手続きのため、法務局へ向かいます。
登記手続き、売主及び建設業者への支払いが終わると、次は鍵等の引渡しです。
買主及び建築主が引渡しを受けるものは、主に次の3つになります。
① 玄関の鍵 : 通常は5本
② 建築確認申請書 : 家を建てるために必要な書類
③ 住宅設備の取扱い説明書 : システムキッチン、システムバス等の使い方が分かる書類
この時点で家を購入した実感が湧いてくるのではないでしょうか。
4.『登記識別情報』が届く
司法書士の登記手続き後、10日前後で自宅に『登記識別情報』なるものがお手元に届きます。
司法書士から10日前後にご自宅に届く、説明を受けると思いますが、おそらく忘れていると思います。非常に大切な書類です。
では、『登記識別情報』とは何でしょうか。
すごく大切な書類なので少しお時間を頂き、ご説明します。
2004年に不動産登記法が100年ぶりに改正されました。
改正前は、登記が完了すると『登記済権利証書』いわゆる『権利証』と呼ばれるものが交付されていた。
その『権利証』を所有することで、不動産の権利者と判断されていました。
改正後、その『権利証』が『登記識別情報』に代わりました。
それでは『権利証』と『登記識別情報』では何が違うのでしょうか。
どちらも不動産の登記が済んだことを証明するものですが、『登記識別情報』には無造作に選ばれた12桁の英数字の記載があります。
簡単にいうと、キャッシュカードの暗証番号のようなものです。
この12桁の英数字は、通常、見れないようシールが貼られています。
今後、この12桁の英数字を知っている人 = 不動産の権利者と判断されます。
ただし、いくら本人でも必要な時まで決してシールを剥がさず、保管することをオススメします。
次回の登記が発生した時に、本人確認手段の一つになるので第三者に見られたり、盗まれたりしないように、厳重に保管する必要があります。
万が一、『登記識別情報』を紛失されたり、12桁の英数字が第三者に見られたりしても、勝手に所有権の移転登記をされる心配はありませんが、とても不安になると思います。
また、この『登記識別情報』、再発行は出来ないことも覚えておきましょう。
5.引渡しに間に合わない!
いろいろな事情により、引渡しが間に合わない場合もあるでしょう。
特に注文住宅の場合は、発注した商品が災害等の事情で納品が遅れたり、悪天候の為、外回りの工事ができず、工事を進められないなど。
私が実際に経験したのは、東日本大震災の影響で、東北方面の工場の稼動が止まり、商品が製造できなくなり、商品が一切期日に納品できないというもの。
このときは、お客様に事情を説明し、ご理解いただけたので、ホッとしました。
建設業者の怠慢や単純な連携ミスなどが原因だと、お客様からすると当然納得いかないでしょう。
お客様の多くは賃貸にお住まいなので、1ヶ月前には管理会社に退去することを伝えなければならず、場合によっては家賃を余分に支払うこともあるでしょう。
またお子様がいるお客様の場合、子供の学校の関係で、新居に入居しなければ学校に通えない場合もあるでしょう。
この場合は新居近くの賃貸に一旦引越し、完成し引渡しを受けるまで賃貸に住まなければなりません。そのために引越し費用などの余分な負担も発生します。
本来掛からない費用が発生した場合、お客様はどうすれば良いか。
このような場合、建設業者に相談し余分な費用を払ってもらいましょう。
以上、立会いから決済・引渡し、登記識別情報、引渡しに間に合わない場合について、ご説明させて頂きました。
最後までお読み頂き、有難うございました。