『103万円、141万円、150万円の壁』?って言われても・・・。聞いたことはあるけど・・・。
パートの収入で超えないほうが良いといわれている壁。これは、所得税、配偶者控除、社会保険に関係してくる壁のこと。
ですが、103万円が何の壁で、106万円が何の壁か良く理解していない人は多いはず。
それぞれの壁が何の壁に当たるか、整理しないと所得税が高くなったり、社会保険に加入しなければならなくなったりと、ショックを受けることになります。
そうならないよう、それぞれが何の壁かしっかり覚えておきましょう。
まずは、改正された『150万円の壁』から説明します。
以下、夫(納税者)はサラリーマン、妻(配偶者)はパートという設定で説明していきます。
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1.『150万円の壁』(配偶者控除)
まずは配偶者控除とは何か説明しておきましょう。
配偶者控除とは、妻の年収が0~103万円以下の時に、一定金額を控除する制度です。
つまり、夫の所得税を計算する時、妻の年収が0~103万円以下であれば『基礎控除38万円』(70歳以上の場合は48万円)を控除することが出来ます。
ただし、配偶者控除を受けられる配偶者の要件は下記の4つ。
① 婚姻の届出をしている配偶者(内縁関係は該当しない)であること ② 納税者と同一生計であること ③ 年収が103万円以下であること ④ 青色申告者の専従者として給与等を受け取っていない又は白色申告者の事業専従者でないこと |
この4つをクリアできれば、配偶者控除を受けることが出来ます。
結果、配偶者控除を受けると、夫の所得税を計算する時に、所得から38万円控除されるので、納める税金が安くなります。
上記の通り、配偶者控除を受けられる妻の年収の上限が『103万円』でした。この『103万円』が皆さんが気にする『103万円の壁』と言われるものです。
この配偶者控除を受けられる妻の年収の上限『103万円』が、2018年1月から『150万円の壁』になります。
また夫の所得要件が一つ追加となります。
夫の年収が1120万円以下であれば変更なしですが、1120万円を超えていくと徐々に控除額が減り、年収が1220万円を超えると控除はなくなる。
じゃ年収150万円まで働いても大丈夫だね!?
確かに、配偶者控除についてはそうです。ですが、
『150万円の壁』になったからと言って、簡単に喜んではいけません。
次に、気をつけなければならない点を説明します。
2.『103万円の壁』の注意点
妻の収入が103万円以下の場合のメリットは2つ。
① 夫の所得税を計算する時に、配偶者控除として38万円控除される
※配偶者控除は上記でも説明したように、2018年1月から『150万円』に見直しされる。
② 自分の所得税も支払わなくて良い
実は、自分の所得税を計算する時も控除されてます。
日本の納税者は、基礎控除として38万円控除されます。そして、給与をもらっている人は、最低でも給与所得控除として、65万円控除されます。
基礎控除38万円 + 給与所得控除65万円 = 103万円
となり、年収が103万円以下の人は、所得税を払わなくても良いのです。
ただし、気をつけていただきたいのは、これは配偶者控除とは別物。
どういうことかと言うと、配偶者控除の年収の上限は150万円になったが、所得税を計算する年収の上限は103万円のまま。今までが一緒だっただけ。
ですから、年収150万円まで頑張ってしまった配偶者は、所得税を支払うことになるので、年末調整しても全額は返還されません。税務署に金返せ!と言っても返って来ないので覚えておきましょう。
因みに、どのくらいかと言うと、例えば、2018年1月以降、妻の年収が①103万円、②150万円の場合、どちらも配偶者控除は受けられるので、夫の所得税は同じ。ただし妻の所得税は①0円に対して②概算で2万3千円となります。
そんなもん!?と思いました?。
もしも150万円まで働ける、働きたいのであれば、所得税を払ってでも150万円まで収入があったほうが、家計は助かるでしょう。
ここまでは、なんとなくでもご理解いただけましたか。
次は、配偶者特別控除『141万円の壁』のご説明です。
3.『141万円の壁』(配偶者特別控除)
まずは配偶者特別控除とは何か説明しておきましょう。
配偶者特別控除とは、妻の年収が103万円を超える年収があり配偶者控除が受けられないときに、配偶者の所得に応じて段階的に控除する制度です。
つまり、夫の所得税を計算する時、妻の年収が141万円未満であれば『3万円~38万円』を控除することが出来ます。
配偶者控除と違う点は、配偶者控除が38万円の控除に対して、配偶者特別控除は配偶者の年収に応じて控除できる金額が変わる。
いくつか具体例をあげます。年収が増えると、控除額は減っていきます。
・年収が103万円を超え105万円未満であれば、控除額『38万円』。 ・年収が120万円を超え125万円未満であれば、控除額『21万円』。 ・年収が140万円を超え141万円未満であれば、控除額『3万円』。 |
ただし、配偶者特別控除を受けられるための要件は下記の6つ。
① 夫(納税者)の年収が1000万円以下であること ② 婚姻の届出をしている配偶者(内縁関係は該当しない)であること ③ 納税者と同一生計であること ④ 配偶者の年収が103万円超141万円未満であること ⑤ 配偶者が青色申告者の専従者として給与等を受け取っていない又は白色申告者の事業専従者で ⑥ 配偶者が他人の扶養親族になっていないこと |
この6つをクリアできれば、配偶者特別控除を受けることが出来ます。
結果、配偶者特別控除を受けると、夫の所得税を計算する時に、所得から3~38万円控除されるので、納める税金が安くなります。
確認になりますが、配偶者控除と違う点は2つ。
① 妻の年収によって控除される金額額が段階的に違う。
② 夫の年収も関係する。
以上が、『141万円の壁』の説明になります。
そして、配偶者特別控除の『141万円の壁』も配偶者控除と同様、2018年1月から見直しされ、『201万円の壁』になります。
また配偶者控除同様、夫の所得要件が一つ追加となります。
夫の年収が1120万円以下であれば変更なしですが、1120万円を超えていくと徐々に控除額が減り、年収が1220万円を超えると控除はなくなる。
いくつか具体例をあげます。
●夫の年収が1120万円以下の場合 ・妻の年収103万円超150万円以下であれば、控除額『38万円』 ・妻の年収198万円超201万円以下であれば、控除額『3万円』 ●夫の年収が1120万円超1170万円以下の場合 ・妻の年収103万円超150万円以下であれば、控除額『26万円』 ・妻の年収198万円超201万円以下であれば、控除額『2万円』 ●夫の年収が1170万円超1220万円以下の場合 ・妻の年収103万円超150万円以下であれば、控除額『13万円』 ・妻の年収198万円超201万円以下であれば、控除額『1万円』 ●夫の年収が1220万円超の場合 ・控除なし |
以上が配偶者特別控除のご説明でした。
4.住民税『100万円の壁』について
●住民税『100万円の壁』
年収100万円を超えると、住民税の支払いが発生します。
住民税の場合、給与所得控除65万円は所得税と同じですが、『基礎控除が33万円』となります。
また、自治体によって変わりますが、住民税所得割の課税基準は総所得金額が35万円を超えなければ課税されません。
100万円=給与所得控除65万円+住民税所得割の課税基準35万円=非課税
例えば、パート年収が120万円だと、住民税は約8,500円。
『壁』にはいろんな壁があるので、しっかり理解して自分の働き方を考えてください。
社会保険上の『壁』については、【社会保険の加入条件。パートは扶養から外れる!?】で説明してますので、是非、ご覧下さい。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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